Kazuno Koharaさんの絵本レビュー。Ghosts in the House!, Midnight Libraryほか。

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Kazuno Koharaさんの絵本に魅了されています。

イギリスを拠点に活動されている日本人の絵本作家で、版画で作成された2~3色刷りのシンプルな色使いが美しく独特の世界観を持っています。

4冊紹介していきます。

“Ghosts in the House! – Kazuno Kohara

最初に手にとったのは”Ghosts in the House! “でした。
ちょうどハロウィンの時期で、オレンジ、ブラックとハロウィーンカラーな表紙に惹かれて入手。

ストーリーは、ちょっとネタバレになってしまいますが

呪われた家に引っ越してきた魔女の女の子が、
そこにいるお化けを全部捕まえて
なんと洗濯機に入れて洗って…ある用途に使っちゃう!というもの。

怖いものから逃げずにオリジナルの工夫で封じ込めてなおかつ活用するというストーリーが息子のようなちょっと怖がりさんに勇気を与えてくれるのか、すごく気に入ったようです。

メインブログに載せましたが、この絵本のイラストを真似して工作もやってみました。

おうち英語の一環で読まれる方のご参考に、
英文のボリュームは、

片ページに1~2センテンス。3ワード~10ワードくらいで小さい子供とでも読みやすいボリュームの文章です。

The Midnight Library -Kazuno Kohara

お次はこちら。
真夜中の図書館が舞台の絵本です。

私は小さい頃から図書館が大好きなので、タイトルとイラストを見たときからワクワク感がとまりません。 カラシっぽいイエローにブルーがアクセントになった色使いもおしゃれできれいです。(Amazonを見るとハードカバーとペーパーバックで色が若干違うかも)

ストーリーは 「真夜中にしかひらかない図書館」という設定。ファンタジー感があっていいですね。女の子と3人のふくろうのアシスタントが働いています。そこにやってくるのはかわいい動物たち。図書館の中で動物たちが起こすちょっとしたトラブルを、司書さんたちが優しく解決してくれます。仕事の最後には、アシスタントのふくろうたちにも「寝る前の絵本」が。

寝る前の読み聞かせにもぴったりの絵本です。

Little Wizard – Kazuno Kohara

お次は男の子の魔法使いが主人公のお話。
昔から魔女や魔法使いのファンタジー絵本が好きです。

うん、この色使いね。写真でちょっと分かりづらいですが、パープルに抹茶のようなグリーンのアクセントカラーです。表紙を飾っておくだけでさまになる絵本、というやつですね。

この絵本のストーリーは、1つの成長物語。
魔法使いだけど空が飛べず落ち込んでいる男の子が、出会った友達(ドラゴン)との友情を通じて飛べるようになるお話です。
ドラゴンを助けたいという思いから空が飛べた男の子、最後のセリフが印象的でした。飛べるようになったことが嬉しいだけじゃなく、友達と一緒に飛んで、一緒にパンを食べて過ごすという経験に対する嬉しい気持ちがよく伝わってきます。
5才の息子はまだ友情というものはピンとこない年齢かもしれませんが、絵本を通じて感じるものがあったんじゃないかなぁと思います。

英語について、
こちらの絵本と先の”The midnight in the library”、後述のJack Frostは、冒頭の”Ghosts in the House!”よりも少し文章量が増えます。ですが1文1文が長いということはなく読み進めやすいです。片ページに3~4センテンス、10~20ワードくらいです。

”Here comes JACK FROST” – Kazuno Kohara

冬、雪の情景が美しく表現されている絵本です。
ブルーのグラデーションとホワイトの表紙にシルバーの装飾文字とキラキラがとてもきれい。

寒い雪の生活、退屈している男の子。
ですがある日不思議なことが起こり、Jack Frostが現れます。
Jack Frostが現れるとページのベースカラーがグラデーションに変わり、特別感を演出しています。

Jack Frost ってよく知らなかったのですが、Wikiで今見て見ると・・・イングランドの伝統的な妖精なんですね。

ジャックフロスト(Jack o’ Frost ジャック・オ・フロスト)は、イングランドの民間伝承に登場する寒さを具現化する霜の妖精もしくは民話上の怪物。(中略)その姿は小人であったり、白髪の老人であったり、雪だるまであったりと様々な説がある。基本的には悪戯好きだが、無邪気で子供のような性格で、冬の間にしかあらわれず、ツララの垂れた真っ白な衣装をきているとされる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88

意気投合して雪で遊ぶ二人。でもお約束があって、「あたたかいもの」のことを口に出したら呪文がとけて去らなくちゃならなくなるとJack Frost。男の子はきちんと気を付けていましたが、、、予想外のシーンと言葉で呪文が解けてしまいお別れになってしまいました。

5才の息子、男の子に感情移入したのかちょっと悲しそうな顔をしました。
大人の私も季節のはかなさ、毎年必ず巡り巡るものでありながら毎回恋しくなってしまうあの感覚を感じてちょっとせつなくなりましたよ。
そんな感覚を絵本で味わうって素敵ですね。

絵本はなぜ読むもの?

ちょっと本題と話がそれますがこんな話も。

英語の絵本を手にとって読むとき、親として2つのことが頭に浮かびます。
英語の勉強になるかな?ということと、心に残る素敵な絵本だといいな、ということです。

日本語の絵本だと後者だけのことが多くて、英語だと「学習」的な要素が浮かぶ割合も多いわけですが、とはいえやっぱり私は絵本は「単純に好きで楽しむこと」、そこから自然と「感性が育まれること」を大事にしたいなぁと常々思っています。

以前、メインブログ記事で「主食の絵本」という話にも書いたのですが、子供の気を引くためにオーバーにカラフルであったり目がでかくてギンギラギンの絵本はなんだか違うなぁと感じてきました。

Kazuno Koharaさんの生み出す絵本は、子供のために書かれたけれど決して媚びていない、それでいて子供をファンタジーの世界に自然と連れて行ってくれる絵本です。

”絵本に限らず優れた文芸作品に共通しているのは、「その物語の中で豊かな人生を生きられる」ということだと思います。物語に触れるというのは別の人生に出会うことですから。”

以前読んだこの言葉が頭に浮かびました。


Kazuno Koharaさんの絵本は世界10ヶ国あまりで翻訳され発売されているそうです。 Newyork Times ベストイラスト賞にも選ばれたことがあるそう。日本出身の方が海外で評価され活躍しているとは嬉しいですよね。

はじめて著者名を見た時、「あれ?日本人ぽいお名前だな」と思っていたら、その後ブログの読者さんから「親戚なんです」とご連絡を頂いて、日本生まれの方が著者だと知り、読者さんとメールでお話したり絵本を送って頂いたりとご縁を頂くに至りました。そんな感謝とともに、子供と読んだ感想をレビューしました。