当ブログではアフィリエイト・アドセンス広告を利用しています(利用していないコンテンツももちろん多数あります)。どの記事も誠実なレビューや紹介を心掛けていますが、「多少は忖度してるのかも?」なんて懐疑的な視点も持って読んで頂ければと思います。商品提供を受けたPRアイテムやサービス、アンバサダーPRをしている案件については各記事内で明記しているのでご確認下さい。
Follow Me!
こんにちは。おうちえいご園ブログを運営する辻めぐみです。
6月に開催された日本言語学会第166回大会・シンポジウムで
おうち英語に関する研究が発表されました。
シンポジウムは一般参加可ですので私も行ってきました。
登壇した先生のお一人と繋がっていることもあり夜は懇親会にも参加させて頂き、直接貴重なお話をさらに聞くことができました。
(当時SNSでは多数投稿していたのですがブログに記録がないので2023年のうちに書いておこうと思います。
おうち英語保護者にとって関心が高いであろうこと、例えば
・英語学習開始年齢と接触時間の影響
・インターとおうち英語の国語力への影響
・インター・おうち英語・大学生の英語発話や流暢さの比較
などが研究されていたんですよ。
とっても興味深いでしょう!
実は我が家の長男も横浜国立大学にて被験者協力していました。
親への調査アンケート事項はかなり細かかったです!
言語学会シンポジウム:おうち英語の研究
以下の内容で発表がありました。
引用元:日本言語学会サイト https://www.ls-japan.org/modules/documents/index.php?content_id=2533
特におうち英語に関係している部分は私が赤でアンダーラインしています。
「小学生の大規模脳科学研究で見えてきた英語学習開始年齢と接触時間の影響」
尾島 司郎(早稲田大学)
英語圏に移住して何年も生活する場合、幼少期に移住した方が最終的な英語力が高いというデータがある。一方で、日本において英語は外国語であり、早く学び始めたとしても、コンスタントに触れ続けるのが難しいことも多い。この発表では、日本人小学生500人以上を対象に3年間にわたって実施された大規模な研究を紹介し、英語学習の開始年齢やトータルの英語接触時間が小学生の脳反応や英語力にどのように関係するのかを議論する。ここで見えてきたのは、日本で外国語として英語を学ぶ場合、単純に早く始めるほど良いとも言い切れない、学習開始年齢とトータル接触時間の複雑な関係である。
「インターナショナルスクールと『おうち英語』の 学習環境・国語力」
柴田 奈津美(専修大学)
日本において、子どもが高い英語力を身につける事例の1つにインターナショナルスクールに通う子どもたちが挙げられる。このような英語を共通言語とする学校に通う以外に、家庭で英語環境を作り出すことで、高い英語力を身につける子どもたちがいる。この発表では、インターナショナルスクールに通う子どもたちと「おうち英語」で英語を学ぶ子どもたちの学習環境について比較する。また、こういった幼少期から長時間英語に接している子どもたちは、母語である日本語の国語力には影響があるのかについて、実際に行った国語テストの結果を用いて議論する。
「どのくらい流暢に話せるのか?インター・『おうち英語』・大学生を比較して」
三浦 篤史(早稲田大学)
「英語を流暢に話せるようになりたい」という目標を持ち英語学習を進める学習者は多い。さらに、多くの英語検定試験や入学試験でスピーキング問題が導入され始めており、スピーキング能力の向上に社会的関心が集まっている。この発表では、「おうち英語」で英語を学ぶ子ども、インターナショナルスクールに通う子ども、一般的な英語学習を行ってきた大学生の英語スピーキングを比較し、それぞれの学習者にどういった発話の特徴があるのか議論する。また、英語を流暢に話せる学習者はどういった活動を取り入れているのかという点についても議論を進める。
「子どもは英文法知識をどのように習得していくか?(1)—Wh疑問文と関係節に着目して—」
広瀬 友紀(東京大学)
Wh-疑問文や関係節など、文を構成する要素が本来の位置と異なる場所に置かれる構文は、英語初学者にとって直感的に理解しにくいことが多い。そのなかでも目的語要素が移動した文は、主語のそれに比べ、英語母語話者においても獲得に時間がかかり、また成人母語話者にとってもより負荷が高いとされる。本発表では、英語圏の自然な環境で英語習得を開始した年少日本語母語話者に対して数年にわたって縦断的に行ったWh-疑問文と関係節の理解および産出課題の結果を紹介する。またこれら構文について明示的な教示を伴わない条件下での習得過程を長期的に観察した記録も併せて報告し、英語母語話者や、成人第二言語学習者について先行研究で得られている知見と比較する。
「子どもは英文法知識をどのように習得していくか?(2)—複雑な名詞句を使うようになるまで—」
田中 広宣(東京大学)
過去の第二言語習得研究では,学習者はある一定の発達段階をたどりながら文法を習得していくことが明らかにされてきている。本研究では,数ある文法事項の中でも,総合的言語発達を下支えしていると考えられる名詞句の習得に着目する。英語における名詞句は,その特性から多様な構造を持ちうるが,とりわけ関係節による後置修飾を含む名詞句構造は習得が困難であることが広く知られている。本発表では,英語圏の自然な環境で英語習得を開始した日本語を母語とする子ども1名の発話を数年にわたって縦断的に記録したデータを対象に,どのようなプロセスを経て名詞句の習得が進み,関係節を含む複雑な名詞句が産出されるようになるのかを分析した結果を報告する。
シンポジウムの録画配信(YouTube)
1か月ほど前にUPされており、こちらから視聴できます!
尾島先生のX(ツイッター)上で、「日本言語学会のYouTubeで公開されたおうち英語に関するデータを分かりやすく解説します」という音声配信もあるので合わせて聞いてみてはいかがでしょうか。期間が過ぎると視聴できなくなるのでお早めにどうぞ。
併せて読みたい
X(ツイッター)でも話題になった尾島先生の新聞記事
「おうち英語」は言語学の定説破り? 研究で見えてきた効果と実態
2023年9月9日 朝日新聞(首都圏の朝刊)教育企画コーナーおよび朝日新聞デジタル掲載
私的に重要だった箇所のメモと私見
・単純に早く始めるほど良いとも言い切れない件
この研究では、トータル英語接触時間が長い方が英語接触開始年齢に関係なく高いスコアが出た。
0才から始めたから英語が出来るようになるというわけではなく、長い接触時間の確保が必須。
(私見:長い英語接触時間を確保しようと思うと必然的に未就学期のスタートが有利になる。が、乳幼児の貴重な時間をどう過ごすか、何歳何カ月からどの程度のボリュームで始めるかは各家庭環境や親の方針によるので、ただ1つの正解はないのだと改めて思いました。開始時期については以前こちらの本も参考にしています。)
・インター、おうち英語の子どもたちの国語力について
インター生は国語力のテスト(CDC)の結果にバラツキが大きく、低い子もみられた。おうち英語の子は概ね学習指導要領の目標(70%以上)を達成しており、この研究上では国語力への影響は確認されなかった。(CDCテストが簡単すぎたとの解説あり)
(メモ補足&私見:これは限定的な実験結果であり、おうち英語が国語力に全く影響がないという根拠を示すものではありません。尾島先生の新聞記事やツイッタースペースでは、日本語の小学校で教育を受ける子が”(幼児期)おうち英語で英語優位に育てる事を勧めない”という話も出ているので合わせてご覧ください(特に中学受験を考えている方)
私のボイシーラジオでも関連する話をしています)
・発話量と流暢性について
おうち英語の子は、トータル接触時間数のある地点を境にパフォーマンスに差が出ているように見えるグラフあり。(詳しくは↑シンポジウムの動画をご覧ください)
・Multilingual diversity 多言語多様性という考え方
話者としての多様性を認めていこうというもの(尾島先生)
(私的解釈→日本語母語話者なら日本語のレベルがある一定水準に達していないという理由で個人の言語力をジャッジするような一面的な考え方はやめたほうがいいのではないか。Multiconpetenceの視点をもって、総合的に言語力をみていくことも必要。
シンポジウムに参加した感想
バイリンガルの研究は日本を舞台にしたものが少なく、おうち英語に関しては科学や学問的視点というよりも経験則で語られることが多いです。もちろん経験則も参考になるのですが、個人発信の場合は人によって結果や見解が違うので、受け取る側からすれば情報迷子になりやすいのがおうち英語の常だと思います。ですので大学の先生方がおうち英語を研究しある一定の傾向や数値を教示してくれるのは本当にありがたい事だと思っています。今後も研究が進められ、おうち英語がより一般に理解され、1つの選択肢になるといいなと思います。個人的にはそれによって親の収入による教育格差を埋めることにもつながると考えています。
Follow me!